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アフリカはなぜ豊かになれないのか

アフリカはなぜ豊かになれないのか

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ある調査で訪問したタンザニアで、地元の仕事相手から面白い話を聞きました。彼は長い間、私の会社のプロジェクトで働いていたスタッフで、今は某国際金融機関の職員になっています。エリートといっていいです。今回は、アルバイトで私の仕事を手伝ってもらったので、その打ち合わせをしました。仕事の話を離れて、いろいろタンザニアのことを教えてもらいました。

彼によるとタンザニアは、本当は豊かな国なのだそうです。鉱物資源が豊富にあり、金鉱さえあります。アフリカで四番目に金が採れる国だそうです。モザンビーク国境の南部では天然ガスが埋蔵されているらしく、現在英系企業が探索中です。それなのに、依然として貧困から脱出できない理由は、政府の政治家、指導者層が腐敗しているからとのことです。いくらタンザニアが富を蓄積させても、政治家が私腹を肥やすのに使ってしまい、スイスなど外国の銀行にどんどん送金されてしまうようです。一般国民のために富が配分されることも、使われることもなく、庶民は放置されたままです。だから、貧困から抜け出せないのだそうです。

実は、数週間前に全く同じことをガーナの大学の教員から聞いたところです。ガーナにも石油など天然資源が豊富にあり、本当が豊かな国なのに、指導者が腐敗しているから、国が豊かなにならないのだと不満をこぼしていました。タンザニアの彼にそのことを伝えると、これはアフリカに共通した問題だと言われました。なぜそうなのか?アジアだってヨーロッパだってアメリカ大陸だって政治家や指導者層の腐敗はある程度あるけれど、どうしてアフリカでこの問題が深刻なのか?彼に質問を投げかけてみました。

彼から出てきた回答が面白かったです。「アフリカの問題は社会のシステムに人々の文化や風土、習慣、考え方が追い付いていないからだ」とのことです。アフリカの政治、経済のシステムは欧米から導入されたものですが、それに土着の文化や風土が追い付いていないのだそうです。欧米のペースで経済や社会はどんどん変わっているのに、アフリカ人の習慣や考え方が、それに合わせて変化してゆけないのが諸問題の根源のようです。彼が常日頃考えている事だったらしく、淡々と話してくれました。つまり、例えばどこの国にも政治家や高級官僚が汚職に手を染める可能性はありますが、欧米には社会の中に明示的なルール、あるいは暗黙の規範・価値観のようなものがあって、汚職の発生を最小限にとどめています。しかし、アフリカ諸国では、ルールがあっても人々がその運用に慣れていなかったり、不正行為を阻む規範・価値観が弱かったりして、政治家や官僚汚職に歯止めがかからないのでしょう。

この話を聞いて思い出したのは、零細企業に対するコンサルティングです。夫婦が二人で営んでいるような零細企業(例えば商店、飲食店など)の場合、会計は所謂ドンブリ勘定であることが少なくないです。お店の売り上げと生活費がごっちゃになってしまい、売上金を子供に渡して買い物に行かせたり、親戚の子供が訪ねてきたら店の商品をそのままあげたりしてしまいます。夫婦二人でやっているなら問題ないのでしょうが、こうしたドンブリ勘定は、企業規模が大きくなり、10人、100人と従業員が増えてゆくなら、とても許されません。企業としての売り上げを社長が私的に使ってしまったり、私的な出費を会社の経費にしてしまったり・・といったトラブルは良く耳にします。先日も某タレントが自身の事務所の収入を不正に使っていて、税務署から脱税行為を指摘されました。つまり、企業の規模がある程度大きくなったのに、社長の意識はドンブリ勘定の零細企業のままにとどまっているということなのでしょう。

アフリカ諸国の現状もこれに近いのかもしれないです。おそらく社会、共同体が小規模なサイズでとどまっていた場合、ドンブリ勘定的な統治でも支障なかったのでしょう。その年の収穫で得た富を、いったん首長が集めて共同体の行事に使う・・といったレベルの話なら、ガバナンスとかアカウンタビリティといった概念に目くじらを立てる必要な無いのでしょう。しかし、アフリカの社会が植民地化を経て、「国家」として再編されると、こうした共同体的なドンブリ勘定では、とてももたないのでしょう。しかし、国家元首の頭の中は、依然として小規模な共同体の首長のままかもしれません。だから、国家として得た収入(例えば国営石油公社の利益)を、自分の富として認識し、躊躇もなく私用に使ってしまうのでしょう。まわりの人々の頭の中も、古くからの共同体のイメージのままならば、こうした国家元首の行動にさほど不自然さを感じないのでしょう。

以前、ガーナで会った人で、妹がオーストリアでくらいしているという人がいました。その人の妹さんの話によると、ウイーンにはアフリカの某国の元国家元首の建てた豪華な宮殿があるのだそうです。あまりに豪華な建物なので、観光客の観光ルートにさえ入っているようです。その国も政府の汚職がひどくて有名な貧困国です。彼は、これが貧困に苦しむアフリカの実態だと嘆いていました。

「アフリカでは社会のシステムに人々の文化や習慣が追い付いていない」というタンザニアの仕事相手の観察は、私にはとても説得力があるように感じます。でも、じゃあどうすれば良いかという話になると、なかなか解決策が見いだせないように思えます。

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