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援助機関病について

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援助機関病とは?

援助機関病とは私が名づけた病気です。途上国を相手に援助を行う側の意識をしだいにむしばんでゆく病です。「上から目線」で被援助側を見下す態度が典型的な症状です。援助事業に携わって、3年~5年くらいで感染する人が多く、10年もたつと症状が出ていることすら気づかなくなります。途上国の友人をなくす怖い病気です。

確かに日本は豊かな国です。我々が援助をするのは開発が遅れている貧困国です。外国からの援助がなければインフラを建設したり、教育・保健といった基本的な社会サービスを国民に満足に提供できない国が少なくありません。しかし、だからといって豊かな国と貧しい国との間に上下関係があるわけではないです。国はいろんな理由で貧しくなります。国民が怠けていたり、不真面目だったり、劣っているから国が貧しいと決めつけるのは間違いです。しかし、途上国の人々を相手に援助していると、残念ながらだんだん相手をバカにしたり見下す態度を身に着けてくる人が増えてきます。

典型的症状

症状はまず使う言葉に端的に現れます。「・・してやる」、「・・させてやる」といった言葉を日常的に使うようになります。「日本まで研修に送ってやったのに・・・」的な言い方です。日本語だから相手には通じないと思っていても、こうした言い方は態度にも表れ、いずれ相手に気付かれるものです。また、「民度」という表現をよく使うようになります。「民度が低い国だと無理だよね・・」などと言いますが、これも明らかに上から目線です。そう言う自分の「民度」はどうなのでしょう?さらに政府開発援助の場合、「日本国民の税金を使っているのだから・・」と相手国の人々に言うケースも目立ちます。それはそのとおりなのですが、この言い方に続くのが、普通は「(・・だから)こちらの言うとおりにしなさい。抗弁は受け付けません」になります。日本でも生活保護を受ける世帯や児童保護施設で暮らす子供などが、役人等からこのような言われ方をして心が傷つくという話は耳にします。相手の心が見えなくなるもの「上から目線」症候群です。もっとも、援助する側でも、現場に近くて相手国の人と一緒に汗をかいているような人々は少し状況が違います。こうした人々であれば、目の前の人々に対して、さすがにこうした表現は使えません。援助実施機関、大使館など現場と距離が離れていればいるほど、こうした症状が目立つようです。

発症に気づかない理由

でも、発病して顕著に症状があらわれても、なぜ本人は気付かないのでしょうか。それはやはり援助する側にお金があるからです。援助を受ける国の人々は貧しいです。公務員だと月給が5000円くらいの国が多いです。こうした人々を相手に、50万円、500万円、あるいは5000万円といった多額のお金をちらつかせれば、相手は不満があっても黙らざるをえません。たとえ屈辱的な目にあっても、一時の怒りにまかせて契約等を反故にしてしまえば、自分にとって、家族にとって、あるいは自国にとって大きな損失になります。ここは何があってもぐっと怒りを抑えて、屈辱に耐えるのが大人の態度です。だから、援助する側の人間に症状がでても、まわりが気付かせてくれないのです。まさに「裸の王様」といった感じでしょう。

何のための援助?

我々が途上国を援助するのは、相手国の政府や団体をパートナーとして、一緒に当該国の貧困撲滅や経済開発を進めたいからです。「施し」をしているのとはちょっと違います。当該国の貧困が少なくなり開発が進めば、経済的、政治的、社会的に何らかの形で日本の国益につながることもあるでしょう。世界の途上国の中で日本にとって真の友人を作ることができれば、日本にとっての利益は計り知れません。特に、激動する現代の国際社会の中で、日本の友人を各地に確保しておくことは戦略的に重要です。折角、多額の援助をしても、援助機関病のせいで相手国の友人を失ってしまえば、とても残念です。何のための援助なのかわからなくなります。

援助する側は、ただでさえ力が強いのです。相手に対して、自らの態度が横柄になっていないか、心を気付けていないか、日々注意しながら援助事業に携わることが必要でしょう。

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