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BOTビジネスと日本企業

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BOTとは

BOTとはBottom of Pyramidの頭文字をとったもので、途上国の住民の大半をしめる貧困層のことを指しています。貧困層であるがゆえに購買力は小さく、市場として重視されてはきませんでした。しかし、アメリカのミシガン大学のプラハード教授が「ネクスト・マーケット」という著書を発表してから、この貧困層市場の潜在的価値が注目されるようになりました。特にアジアの新興国では貧困層市場は年々大きくなっています。こうした国々の貧困層を現時点で顧客として取り込んでおくことは、将来の販路拡大に大きな効果が期待されると考えられています。成長する新興国では、現在の貧困層もいずれは中流階層にうつる者が少なくないと予見されます。早くから貧困層の間にブランド名を浸透させておけば、中流階層になっても同じブランドの中高級品を手にしてくれるのではないかと見込まれています。

BOP市場での日本ブランド

貧困層向けの日本ブランドの製品というと、味の素が有名です。東南アジアではどの町でも味の素ブランドは浸透しています。街中にあるキオスクのような商店の軒先では、小袋につめられた味の素が駄菓子のように一袋づつ販売されています。価格は低所得者にも手のとどくような水準に設定されています。軒先には、味の素以外にも、小分けにされたシャンプーの小袋や、バラウリのタバコなどが並べられているのをよく目にします。残念ながら味の素以外には日本企業のブランドは、こうした商店ではあまり見られません。

街角には携帯電話の販売店も多く見られます。今ではどの国でも携帯電話の普及率は著しく高く、町を歩く人のほとんどが携帯電話を所持しているように思えます。携帯電話も貧困層向けの商品になっています。販売店の店先を除くと、展示してある商品はほとんどが韓国か中国の製品で、たまに欧米ブランドはあっても、日本のブランドはめったに目にしません。家電品を売っているお店にいっても状況はあまり変わりません。日本ブランドの製品は高級品として片隅に鎮座してたりしますが、店内は韓国製品か中国製品であふれかえっています。あるとき、日本のテレビ番組が、家電品店のお客さんに、外国製品のブランドの知識を問うていました。韓国のSamsungはみんな知っていても、SONYを知っている人は意外に少なくて驚いてしまいました。

アフリカでのSamsung

アジアだけでなくアフリカでも韓国、中国企業のブランドは浸透しつつあります。例えば、エチオピアの首都アジスアベバの市内の目抜き通りにはSamsungのテレビと冷蔵庫の大きな看板があります。中国製の携帯電話の広告もあちこちで目にします。Samsungの看板には、同社のテレビと冷蔵庫がアフリカの生活環境に適して設計されていることがアピールされています。アフリカでは電気の供給が不安定であり、頻繁に停電したり、電圧が大きく変動することは良くあります。停電が続けば冷蔵庫の中身は傷んでしまいますし、電圧変動はテレビなどAV機器を壊してしまうこともあります。ところが、Samsungの冷蔵庫は停電しても一定時間は冷気を保っていられるそうです。また、テレビは電圧変動に耐えられるように作られているそうです。日本企業の製品で停電や電圧変動に対応できるように作られているものはエチオピアでは見当たりませんでした。

携帯電話とBOP

ベトナムに在住日本人向けに作成されている月刊誌があります。その中で街角の声を紹介するコラムがあります。ある号では、ホーチミン市の携帯電話店で携帯電話を購入していた青年のインタビュー記事が載っていました。彼によると携帯電話を選ぶ際にチェックするのはファッション性と価格とのことでした。携帯電話はモデルチェンジが早いため、せいぜい半年から1年間も使えれば十分のとのことでした。耐久性は重視しておらず、壊れたら新しいモデルにどんどん買い替えるようです。日本ブランドの製品は耐久性に優れて、価格は高めでしょうから、この青年の選択肢には全く入ってこないものと思われます。私もラオスの首都ビエンチャンのショッピングモールで携帯電話を買ったことがあります。店員から低価格の中国製品を勧められて、それを購入しました。ブラックベリーの模造品といった感じで、立派にみえました。購入してからホテルに持ち帰って、さっそく使ってみましたが、良く機能しないようでした。そこで、翌日にお店に持ち込んで苦情を言いました。お店では、中国製品にハズレがあるのは当たり前といった感じで、さっさと同機種に交換してくれました。幸い、交換してくれた機種はちゃんと機能しました。ただ、不良品に対する店員のあっさりした対応に少し驚きました。この市場は、ハズレ製品があることが想定されている市場なのだと思いました。ハズレ製品、つまり耐久性がなく壊れやすい製品を作るという発想は、日本のエンジニアには無いと思います。耐久性に優れ、高度な機能を有した、高級な製品を開発することを、皆さんが目指してきていることと思います。しかし、途上国のBOPの市場の中には、こうした高級品が求められていない分野もあるのです。こうした分野に向けて製品を開発することも必要ではないでしょうか。

日本企業は本気なのか?

途上国で、日本と韓国、中国企業の製品を見比べると、いったい日本企業はBOP市場の開拓に本気なのかどうか疑ってしまいます。BOP市場が何を求めているのか、正面から見据えていないような気がします。日本企業は、途上国でも中高級品分野で商品をそろえておけば、貧困層が中流階級になった時に購入してくれるだろうと考えているのでしょうか。しかし、貧困層時代に韓国、中国ブランドに慣れ親しんでいる消費者は、中流階級になったときは韓国、中国企業の作った中高級品を選択してしまうのではないでしょうか。これから、中国、インド、東南アジアなどの新興国の市場はますます大きくなるものと考えられます。新興国のBOP市場の中でブランド名を普及させておくことは、将来に大きなメリットになるはずです。BOP市場の開拓に向けて、日本企業は正面から取り組むことが必要ではないでしょうか。

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