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開発の仕事に求められる資質と能力

開発の仕事に求められる資質と能力

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途上国で開発協力の仕事に従事するために必要と思われる資質や能力についてまとめてみました。一応、開発コンサルタントや国際機関職員を想定してまとめてみましたが、その他の職種につく際にも参考になると思います。

英語力

途上国で開発の仕事をするうえで英語力は必要不可欠です。英会話力も大切ですが、英文を読んだり書いたりする力も重要です。もちろん、途上国といってもいろいろな国があり、それぞれが異なった言語を使っています。中南米ではスペイン語、西アフリカではフランス語が公用語として広く使われています。中国はもちろん中国語です。しかし、その他の地域では開発で使用する言語はもっぱら英語です。我々の仕事では英語力がとても重要です。

まず英文読解力は調査など情報収集する際に必要です。我々が手にする文献はほとんどが英語です。日本語に翻訳されている文献や日本語で書かれている図書などもありますが、これだけに頼っていては得られる情報はごく限られてしまいます。たとえば今注目のミャンマーを取り上げても、ネットで「ミャンマー」と検索するのと、「Myanmar」なり「Burma」なりで検索するのでは、ヒットする件数が桁違いであることは明らかです。英語で情報が取れない、取るのに時間がかかるというのは、調査をするうえで致命的弱点です。英文を一文一文読むのに英和辞典が手放せないようでは、とても仕事になりません。

次に英作文力も大切です。仕事の中で英語で報告書を書く機会は少なくありません。日本の中高校の英語教育だと、英文読解にくらべ英作文の演習はあまり時間をかけていないように思えます。学校では、せいぜい数行の英作文を書かせて終わりだった記憶があります。チェックするのが日本人の教員なので、長い英文をチェックするのが難しいのかもしれません。数行の英作文しか書いたことが無い人が、いきなり数十ページの英文レポートを作成するのは無理です。良く比喩で使うのですが、古文の読解が得意な人であっても、古文で文章を書けと言われると困ってしまうでしょう。それは古文で文章を書くという機会が無いからです。英語も同じで、英語を読む力と書く力とは別物と考えた方が良いです。読むだけでなく、書く訓練も進めるべきです。できれば、ネイティブの教員にチェックしてもらえるような環境で英文ライティングの演習をするのが理想と思います。

英会話力も必要です。途上国で相手と面談して情報を得る際に、先方が何を言っているのかわからなければどうしようもありません。また、英語で会議をしていても、何も発言できなくて沈黙しているままでは、存在意義が問われます。英語で円滑にコミュニケーションする力は必須です。もっとも、英会話力といっても、きれいな発音で英語が話せるかどうかという意味ではありません。世界にはいろいろな訛・アクセントで英語を話す人がいます。インド人の英語、アフリカ人の英語、フランス人の英語など様々です。皆がそれぞれの訛で堂々と英語を話しています。インド人がインド訛を恥ずかしがって英語をしゃべらないなんてことは想像できないでしょう。だから、コミュニケーションのポイントは発音のきれいさではなく、論理の明瞭さ、用語の適切さなのです。どんなに発音が英米人ぽくて流暢でも、内容がない発言ならば、誰も聞いてくれなくなります。

好奇心

途上国の社会、経済、文化などに対して強い好奇心を持っていることも重要な資質と思います。外国で仕事をするのだから、相手の国の社会や文化の中に飛び込んでゆく姿勢は必要です。たとえば日本で働く外国人が、日本の生活や文化などに全く関心を示さないのと、強い好奇心を持つのでは、われわれの接する態度も自然と異なってくるでしょう。我々が途上国で仕事をする際にも同じです。現地の食べ物をいろいろトライしたり、現地の習慣をまねて見たり、現地の言葉をカタコトでもしゃべってみたりすると、現地の人々のウケが違います。「え!お前は〇〇が食べられるのか?!」なんて会話をきっかけとして、人の輪が広がったりします。これを無理なくできるためには、そもそも途上国に強い好奇心を持っていることが必要です。東南アジア諸国に出張にゆくと、毎晩毎晩和食レストランでばかり食事をしている日本人(たいてい男性)を目にすることがあります。こういう人は、そもそもこの仕事が向いていないのではないかと思ってしまいます。

体力・精神力

途上国での生活は肉体的にキツイときがあります。中東や南アジアでは日中の気温が50度を上回ることがあります。土埃、砂埃で口の中がざらざらするようなときもあります。ホテルのベッドに変な虫がいて夜刺されることも少なくありません。運が悪ければ、ハマダラ蚊に刺されてマラリヤやデング熱をもらってしまうこともあります。水が悪くてひどい下痢をすることも日常茶飯事です。たとえ熱があって下痢気味で体調が優れなくても、明日は朝6時にホテルを出て、悪路を車で8時間かけて次の目的地に移動しなければなりません。

もちろん、いつもいつも厳しい生活をしているわけではありませんが、基本的に体力がないとこの仕事は続きません。途上国で仕事を続けられるためには、おそらくよく寝られること、そして気分転換がうまくできることの二つが必要です。まず十分に睡眠をとることは体調維持のために不可欠です。毎晩5時間くらいしか寝られない人は、おそらく10日間も出張していたら体を壊してしまうでしょう。日頃から規則正しい生活をして、早寝早起きを習慣づけておくことが必要だと思います。また、適度に気分転換できる能力も重要です。瑣末なミスやトラブルにいつまでもくよくよしていたら、精神的にまいってしまいます。不眠の原因になったりもします。この業界に入ってくる人には真面目で理想に燃えている人が少なくありません。真面目でいるのも、理想を高くもつもの良いことなのですが、現実とのギャップにショックを受けて、落ち込んだり、気を落としたりする人がいます。場合によってはウツ病になって離職してゆくケースもあります。少しはテキトーに構えて、何があっても適度に開き直れるような心の強さが必要です。

専門知識

私は高校生ごろから途上国の開発の仕事に就きたくて、将来は「開発専門家」になろうとしていました。大学にはいって「開発」分野の授業をとったり、開発系のゼミに入ったりしていました。けれど、よく考えたら、途上国だろうが日本だろうが、人々がやっていることにそれほど大きな違いがあるわけでありません。例えば、途上国だって下水道は下水道だし、その技術を伝えるのは、下水道専門家です。開発専門家なんてものは存在するのだろうかと疑問に思うことがありました。自分には特に国家資格もなく、エンジニアでもなく、いったい自分の専門は何だろうと思ってしまいました。

結論をいうと、日本にはあまり知見がなく途上国での仕事だけに必要な「開発」専門分野というものは、あることはあります。例えば、ドナー間の援助協調、外国投資促進、参加型農村開発、マイクロファイナスなどがあげられます。しかし、多くの分野では、途上国でも日本でも専門技術は基本的には共通しています。日本の知見や経験を途上国に伝えて、可能なかぎり先方に利用してもらうのが、技術協力のスタンスだと考えられます。実際に我々が途上国で仕事をしていても、「日本ではどうやっているのか」と聞かれることがよくあります。その時に、「いや~私は開発の専門家だから、日本のことは良く知らないのですよ」と答えていたのではジョークにもなりません。開発の仕事を目指す人ほど、日本のことをよく知って、自分のウリとなる専門分野を身に着けておく必要があると思います。そのためには、大卒後すぐに開発援助業界に飛び込むのではなく、数年間は何らかの実務経験を積んでおくことが良いかと思います。例えば銀行で数年働いておけば、金融業の基礎知識は得られるでしょう。これが将来、途上国で金融制度整備といった支援事業に参加するさいに、役にたつと思います。また、県庁や市役所で数年働ければ日本の地方行政の仕組みがわかります。これは、途上国での行政能力向上プロジェクトなどに参加するうえでメリットになるでしょう。自分の専門は長い年月をかけて築き上げてゆくものですが、その切っ掛けをつくるためにも、日本でのなんらかの職務経験は有益だと思います。

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