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植民地化されなかったデメリット!?

植民地化されなかったデメリット!?

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サハラ以南アフリカの中でエチオピアはヨーロッパ列強によって植民地化されなかった数少ない国の一つです。ある程度の人口規模を持つ国の中では唯一といっていいのではないでしょうか。5年間ほどイタリア軍に侵入された時期はありますが、イギリスの協力を受けて独立を保つことができました。日本もアジアの中でタイと並んでヨーロッパに植民地化されなかった国一つです。植民地化の歴史が無いということは、国民の自尊心を高めるとともに、有形無形のメリットがあるのではないかと思いますが・・・・・エチオピアで異なった見方に接しました。

白人コンプレックス

今週、あるエチオピアの政府の職員と一緒に地方都市に出張してきました。アジスアベバ大学卒のエリートで、政府に20年くらい働いている中堅幹部です。話好きの人だったので、出張中にいろいろなテーマで話をしました。あるとき、エチオピアの現代史の話になり、植民地化がテーマになりました。彼によると、植民地化された歴史を持つ国の人々は白人に意味もなくコンプレックスを持つのだそうです。ただ皮膚の色が白いというだけで、自分より上等だと思ってしまい、卑屈な態度になってしまうとのことです。アフリカ人ばかりいる部屋に白人が入ってくると、全く知らない人物なのに、あたかもボスが入ってきたような態度で接してしまうのだそうです。そうしたアフリカ人をみるにつけ、彼は情けなく思うとのことでした。しかるに、エチオピア人は植民地化された歴史がないので、こういった白人コンプレックスは無いと力説していました。エチオピア人が白人コンプレックスを持っていないかどうかは、疑わしいところがありますが、植民地化されていないという自国の歴史に誇りを持っているようでした。

植民地されなかったデメリット?

ところが話を進めるにつれ、彼は、エチオピアが植民地化“されなかった”ことのデメリットについて指摘しだしました。あたかも植民地化されなかったことが、不幸だったというような言い方です。冗談だと思っていましたが、まじめな顔で植民地化されなかったデメリットを一つ一つ説明してくれました。次のとおりです。

1.英語力が低い

近隣諸国の国民と比べるとエチオピア人は英語力が低いのだそうです。ケニア人などは英語がペラペラで、あたかもイギリス人のように会話ができますが、エチオピア人はいつまでたっても英語が下手で、流暢にしゃべれません。外国人と仕事をする上で、ハンディとなっているそうです。イギリスとかフランスなどに植民地化されていれば、もっと国民が英語やフランス語をうまくしゃべれるはずなのに・・とのことです。

2.国際機関に職員が少ない

国連などの国際機関には多くのアフリカ人が働いています。その多くが植民地化された国のアフリカ人だそうです。イギリスやフランスは国連の常任理事国ですし、世界銀行でも有力な加盟国です。だから、旧植民地国は、旧宗主国と強い関係があるので、そこの国民は国際機関で受け入れてもらいやすいとのことです。一方、エチオピア人の場合は、特定のヨーロッパ諸国と特に強い関係がないので、国際機関に人を送り込むうえでハンディがあるとのことです。前述の語学力の低さも影響しているかもしれません。

3.社会経済開発の遅れ

旧植民地国は経済的にも旧宗主国と強い結びつきがあります。ケニアにはイギリス企業の投資が多く、イギリスなどヨーロッパ諸国の市場に向けたビジネスが発達しています。ナイロビ市内は昔から外国投資で盛況です。また、教育制度などもイギリスから重点的な支援を受けて整備されており、イギリス政府の支援で学校の設備や機材が充実しています。しかし、エチオピアは、特定のヨーロッパ諸国と強い結びつきが無いため、外国投資も低調です。教育など社会セクターについても、重点支援してくれるヨーロッパ諸国はありません。植民地化されていなことが、社会・経済の発展を遅らせてしまっているのだそうです。

4.紛争時の軍事支援がない

エチオピアは過去に長く厳しい内戦を経験しています。エリトリアは内戦中にエチオピアから独立しまいました。こうした内戦時にヨーロッパ諸国からの軍事介入はありませんでした。エチオピア人が自力で解決するしかありませんでした。しかし、旧植民地国であれば、こうした内戦状況に陥れば、旧宗主国が軍事的に介入して、政情の安定化に向けて支援してくれるそうです。国内に独立勢力などがあれば、旧宗主国の軍事力を借りて、圧倒的な軍事力で押さえつけてしまうことが可能となります。残念ながらエチオピアはこうした支援が無かったので、エリトリア独立運動などによって国土を失ってしまったと考えていたようでした。

5.サッカーが弱い

今はアフリカでもワールドカップ予選が行われていますが、どうもエチオピア・ナショナルチームは弱いです。ナイジェリアやセネガル、南アフリカなどにいつもいつも圧倒されています。その理由は、こうした国がイギリスやフランスといった旧宗主国から優秀なコーチを招いているからだそうです。確かに、イギリス人やフランス人のコーチにとっては、全く縁のないエチオピアなどにコーチとして赴くよりも、旧植民地で、ある程度まで歴史的、経済的なつながりが深い国の方が心理的に行きやすいのかもしれません。

 

全て食事をしながらの雑談だったので、どこまで本気で話しているのかはわかりません。特に四番目の軍事介入の話など冗談だと思いたいです。ただ、隣国のケニアが経済的に反映しているのを見て、自国が植民地化されなかった「不幸」を嘆くような発言をするエチオピア人には、他にも会ったことがあります。私は、時々、エチオピア人の自尊心をくすぐろうと思って、植民地化されず独立を保った歴史について、あえて話題に取り上げたりします。しかし、このような、こちらの意図を覆すような発言に接すると、戸惑ってしまいます。ヨーロッパの影響を受けていないのだから、誇りを持って独自の文化を築いてゆけば良いのにと思いますが、それができないのでしょうか。ここが、アフリカ文明の底の浅さなのでしょうか。私は、かつて中東のヨルダンに住んでいたことがあるので、アラブ人がとても誇り高く、アラブ文明がとても深淵であることを知っています。だから、ついアラブとアフリカとを比べて、こんな印象を持ってしまいます。

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