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こまったこと

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一つの国で3年近く仕事をしているといろんな経験をします。本当はあまりお話したくないことなのですが、最近困ったことがありました。こうしたこともご紹介したほうが、現地の事情をよくご理解いただけると思って、思い切ってまとめてみました。

私が入っている技術プロジェクトはもうすぐ終わりになります。二年半くらい某政府機関を相手に活動を続けてきました。その政府機関のカウンタパートともそろそろお別れという時になりました。週末に地方都市で最後のワークショップを開催し、カウンタパートの皆さんにも出席してもらいました。ワークショップの終わりに、カウンタパート皆さんのボスである政府機関の幹部から、呼び出しを受けました。何の話かと思って会いに行くと、「謝礼」を要求されました。遠回しな言い方ではなく、結構ストレートな要求でした。「これまでのカウンタパートの貢献に感謝するのであれば、それを形にしめすべきではないか」とのことです。今までも似たような要求はあったのですが、ストレートに謝礼を要求されたのは初めてだったので、正直びっくりしました。要求された謝礼は我々からしたらたいしたものではありません。また、ちょっと工夫すれば捻出できる程度です。この幹部は、我々の捻出作業が簡単であることわかっています。わかった上での要求でした。「無理に要求するつもりはない。これまでのカウンタパートの貢献をどう考えるかは、お前次第だ」と言われました。この幹部によれば、この要求は複数のカウンタパートから求められていることで、彼はただそれを私に伝えに来ただけとのことです。

こういわれて正直悩みました。これを断ると、カウンタパートの皆さんの貢献を評価していないようにも思われかねません。もうプロジェクトは終わりに近づいているとは言え、無事に終了させるためには、この幹部のお世話にならなければならないことが、いろいろあります。ここで彼の要求を突っぱねてしまえば、最後にどんないやがらせが待ち受けているかわかりません。申し出に応じて謝礼を渡すことは、正直いって簡単な作業です。相手との関係を悪くせず、全部丸く収めるためには、そのまま申し出を受けてしまおうかと考えました。それが大人の選択かとも思いました。同僚に相談しましたが、名案がおもいつきません。

ひとしきり悩んだ上で、結局、私の出した回答は「NO」でした。もうプロジェクトも終わりに近づいているし、今後どんないやがらせがあったとしても、耐えてみせるさ!と割り切りました。それに、こうした要求をするほどには、カウンタパートの貢献が大きいとはいえません。地方の職員の皆さんにはいろいろお世話になりましたが、中央政府のカウンタパートには、気を使うことばかり多かった気がします。

外から見たら、カウンタパートからこのような要求がでること自体が、我々がカウンタパート側と良好な関係を構築していない証拠だと思われるかもしれません。我々は考えられる限りの力と誠意を尽くしました。それでこの状況なので、結局は我々の力不足ということだったのでしょう。

日本の技術協力は、相手国政府との共同作業であることがウリです。一方的に技術を押し付けるのではなく、相手国政府と手を取り合って一緒にプロジェクトを進めてゆくのが美しいとされています。それはその通りです。こうした共同作業がうまくゆくケースは山ほどあるのでしょう。ただ、「共同作業」をするためには、相手側にその気になってもらわなければなりません。相手と良好な関係が構築できていれば理想的な形態になるのでしょうが、そうでないと、今回のような事態になります。相手国政府側から「俺たちが共同作業につきあわないと、お前たち困るんだろう」と言われれば、その通りなのです。そこで相手から無理難題を突き付けられれば、無下には断りにくいのです。今までいろいろ難題を課されてきましたが、今回ばかりは突っぱねました。

あらためて、この幹部のところに「NO」回答を告げにゆくと、いろいろ嫌味を言われました。総会屋に裏金を要求されている企業の総務部員、あるいは、ヤクザにみかじめ料を求められている飲食店さんの気持ちが一瞬わかった気がしました。「カウンタパートの貢献には大変に感謝していますが、その気持ちは別の形で皆さんに伝えるつもりです」と言ってその場を去りました。この選択がどういう結果になるかわかりませんでしたが、何とかなるだろうとおもいました。

開発協力の美しい面ばかり取り上げるのは、本当の状況を描くことにならないと思い、こうしたネガティブな面をご紹介しました。他のプロジェクトの関係者の皆さんは、きっとこうした状況には面していないと願います。でも万が一面したら、皆さんどうしているのか気になります。

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