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サウジアラビアが石油を輸入する日

サウジアラビアが石油を輸入する日

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最近、中東湾岸諸国への協力に関する調べごとをしています。サウジアラビアとかUAE(アラブ首長国連邦)、クウェートといった国々です。いかにも石油成金国といったメンバーで、ゴージャスな感じがします。昨日テレビでUAEの首都(アブダビ)にあるシェイク・ザイード・グランド・モスクが紹介されていましたが、スワロフスキーの作った8億円のシャンデリアを飾るなど、豪華そのものという印象でした。日本がこんな国々に何を援助するのだろうと考えてしまいます。

石油成金の中東湾岸諸国ですが、実は様々な社会問題を抱えています。一番の深刻な問題は資源の「浪費」です。なによりも石油が安いのでどんどん浪費します。サウジアラビアのガソリン価格は日本の十分の一だそうです。安価な石油を使って、大量の電力を発電します。そして、大きなビルをエアコンでガンガン冷やして、巨大冷蔵庫をつくっています。一昨年にサウジアラビアに短期で出張する機会があったのですが、ホテルでもオフィスでも役所でも、極端に寒かったです。屋外は50度近い熱気なので、温度差が大きかったです。国内には様々な製油所や石油化学プラントがありますが、そこでも、エネルギー効率は重視されていないそうです。日本のようにケチケチ石油をつかって、エネルギーコストを節約するような発想が生まれてこないのでしょう。安い石油をどんどん使って、CO2削減の流れに逆行しています。
「水」の浪費も著しいようです。砂漠国なので水の確保が大変なのですが、今ではほとんどの水道水は海水を淡水化して供給しています。海水を淡水化するには、いくつかの方法があるのですが、現地では石油を燃やして海水を蒸発させ、蒸留水をつくっています。技術的に簡単で容易なのですが、エネルギーコストは高くつきます。だけど、石油が安いので、問題ないのでしょう。水の価格も低く設定されているため、国民も水を浪費しています。配水中に漏水してしまう部分も多いそうです。砂漠の国では「水」はそもそも貴重品なので、国家の威信をかけて大量の水を供給しています。もちろん、これを生産するためのエネルギー使用は莫大なものです。

砂漠であまりにも大量の水を使うので、下水道設備がパンクしているようです。サウジアラビアの商業都市ジェッダ郊外には、下水処理が間に合わなくて「下水湖」が出来ているのだそうです。悪臭だけでなく、マラリアなどの問題も起きています。海岸にそのまま垂れ流しされている汚水も多く、沿岸汚染も深刻とのことです。

様々な生活物資や生産財の浪費も著しいようです。だから、廃棄物処理も間に合いません。今までは広大な砂漠に投棄していましたが、そこも満杯になり、処分に困っているようです。ゴミを分別して、資源をリサイクルするようなケチケチした発想が無いので、そうしたリサイクルによる処理も進んでいません。

食べ物だって浪費します。国民全体が食べ過ぎです。だから、社会に生活習慣病が蔓延しています。もともとアラブ料理は脂ぎった肉が中心で、カロリーが高いです。ラマダン(断食月)の期間中は、日が暮れてから毎晩毎晩大宴会が続きます。だから、どんどん太ってしまいます。最近は、小児糖尿病が深刻な問題になっているようで、さすがに、何とかしたようが良いように思います

こうした中東湾岸諸国の「浪費」を放置しておくと、いずれは我々日本人にも影響が出てきます。なによりも、石油資源の調達が難しくなります。このまま中東湾岸所得が石油を浪費し続けると、今に石油の輸出が難しくなります。イギリスの研究所の試算だと、サウジアラビアでは2038年までに石油輸入国に転落しかねないのだそうです。いったい、どこから輸入するのでしょうか。日本は原発事故以来、火力発電への依存度が高いです。風力や太陽光といった再生可能エネルギーの活用も広がるでしょうが、限度はあるでしょう。日本は8割の原油輸入を中東湾岸諸国に頼っています。中東の石油供給が危うくなったら、日本のエネルギー調達はどうなるのでしょう。

「浪費」に慣れきった中東の人々に、節約・倹約精神を伝えるために、日本が何とかす必要があります。そのための、協力が求められているのですが、なかなか大変な作業に見えます。

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