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「名誉殺人 (honor killing) 」ひどい話

「名誉殺人 (honor killing) 」ひどい話

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 ネットでニュースを見ていたら、パキスタンで25歳の妊婦が家族により石打ちされ殺害されたというCNNの記事が目につきました。「25歳妊婦を家族が石打ち殺害 パキスタン」。 事件の内容は記事を見てください。所謂「名誉殺人」の被害です。
http://www.cnn.co.jp/world/35048602.html

かつてヨルダンに住んでいた時に、「名誉殺人」の話は耳にしました。社会問題として取り上げられていました。いろいろなケースがありますが、娘や妻が、一家の名誉を汚したという理由で、父親や夫など家族によって殺害されることです。首謀者は一応、殺人罪として逮捕されますが、ヨルダンのケースでは数か月間くらい刑務所に収監されたくらいで、済んでしまいます。

パキスタンのケースでは、当該女性の親が結婚相手として従弟を選んだのに対し、女性がこれを拒否して別の男性と駆け落ちしてしまったようです。家族に捕まえられて、裁判所に連れてゆかれる途中で、広場のようなところで殺されたようです。煉瓦で頭を打たれたとのことです。CNN報道によれば、パキスタンでは、昨年1年間だけで869人が「名誉殺人」の犠牲になったそうです。

ヨルダンでもこういった事件の報道は度々ありました。何が「名誉殺人」の要因になるのかは明確ではないですが、たいていが男女間の不貞のようです。未婚の女性がどこかの男性と性的関係を持ったとか、妻が夫以外の男性と密会していたとか、そんな理由が多かったです。死後に人権団体が解剖したら、実は娘は処女だったなんて報道もありました。

この話で悲しいのは、娘が公の場で実の親や兄弟に殺されてしまうことと、社会がこうした殺人を許容してしまっていることです。許容というよりも、むしろ社会がこういう殺害を強いているのかもしれません。女性は男性の所有物であり、言うことを聞かなければ、殺してしまって構わないという考えがあるのでしょう。

殺された娘も当然かわいそうですが、家族の「名誉」を守るために娘を殺さなければいけなくなった親もかわいそうです。その娘を殺害しなければ、きっと「不貞な家族」というレッテルを社会から貼られてしまうのでしょう。問題を放置すると、ほかの子供の縁談などに支障がでるのかもしれません。

何年も何年も開発協力のようなことをやっていて、こうした問題が一向になくらないこと対して、大変に残念です。こういった問題が起きない社会をつくることを、皆が求めているはずなのにと思ってしまいます。

 ところで良く誤解されるのですが、「名誉殺人」はイスラム教とは関係ありません。イスラム教は男女差別の宗教だから、「名誉殺人」もイスラムの考え方から導かれたと誤解されます。しかし、この問題はイスラム圏を離れてインドや中南米でも存在しますし、もともと古代ローマにもこうした慣習があったとも言われています。もっとも古代ローマの風習を今でも無批判に続けていること自体に問題があるのでしょうが。

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