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ODAの軍事利用

ODAの軍事利用

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1月に入ってすぐ日本のODAの軍事利用の可能性について報道がありました。安倍内閣が閣議決定する「開発協力大綱」の中でODAによる他国軍への支援の可能性が記述されるそうです。政府開発援助にとって、大きな政策転換だと思うのですが、私の働いているODA業界でもあまり話題になっていないように思えます。民主党政権時代には、民主党国際局を巻き込んで、業界関係者によるODA研究会などが頻繁に開催されていました。安倍政権になって当時の皆さんは沈黙してしまったのでしょうか。

そもそも「開発協力大綱」という言葉が新しいです。これまでは「政府開発援助大綱(=ODA大綱)」と呼んでいました。安倍政権になって、今までのODAとはちょっと異なった開発協力を展開しようとしているのでしょう。軍事利用だけでなく、中進国(ODA卒業国)への支援も積極的に行う考えのようです。そのために政府開発援助という呼称にともなう制約にとらわれたくなかったのかもしれません。

実は、ODAを自国の経済的、政治的利益の追求のために使うという傾向は日本だけではありません。フランス、ドイツといった欧州各国でも色濃くなっているようです。1990年代から2000年代にかけては、ミレニアム開発目標の達成のための貧困削減支援が強く追及されていました。しかし今では、欧州各国の経済自体が低迷しており、理想ばかり追求していられなくなったのかもしれません。10年前だったら、ODAの軍事転用など欧州各国やOECDから大きな批判を受けたことでしょうが、今では静かに受け止められているみたいです。

もっとも、日本のODAの軍事転用といっても、ODAを使って途上国に武器を供与するわけではなさそうです。民生目的、災害救助に限定されるようです。例えば、紛争地域や被災地で破壊された道路を補修するために工兵を派遣するとか、野戦病院に軍医を派遣するといったことなのでしょうか。

こうした縛りがあるのであれば、特に問題視すべき政策変更ではないように思えます。しかし、安倍政権というのは、何か裏で国粋主義的な動きがあるようで、すこし不気味です。民生目的を拡大解釈して、なし崩し的にいろんなことを行いそうです。政府をチェックするのは国民の役割なので、我々もODA軍事転用の動きには注視してゆく必要があります。また誰か民主党国際局との勉強会でも主催してくれないでしょうか。

 

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