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ラマダン中の風景

ラマダン中の風景

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すでにご存じの方と多いでしょうが、ラマダンとはイスラム教徒にとっての断食月のことです。一年に一度、一か月間の行事です。朝日の出から夕方の日没まで一切の食べ物、飲み物を口にすることが禁じられます。唾をのみ込むことも禁止だと聞きました。太陽暦とイスラム歴とは一年の長さが異なっているため、ラマダンの時期は毎年少しづつずれます。今は8月がラマダンの実施時期のようですが、私がヨルダンにいた10年前はラマダンは冬でした。暑い国では日中に汗をかくので、夏にラマダンがくると肉体的にはキツイと思います。ラマダンの一か月間はあまり効率的に仕事をすることができません。だから外国人がイスラム地域に出張する際は、ラマダン月を避けるのが常識です。私もそうでした。でも、ヨルダンには2年間住んでいましたので、ラマダンというものをまるまる二回、現地からしっかりみることができました。その時の状況についてお話します。 

誰が対象か

イスラム教徒ならば基本的には全員が対象ですが、除外される人もいます。妊婦、病人、兵士、子供、そして旅行者はラマダン対象から外れるようです。旅行者の定義はたしか一日数十キロ以上を移動している者と聞いたことがあります。除外といっても全員が免除されるわけではなく、妊婦の場合は出産が終わったら、病人の場合は病気がなおったら、旅行者の場合は旅行が終わったらあらためて1か月間断食を行うことが求められるとのことです。子供の定義はあいまいらしく、小学生くらいは免除されます。しかし、子供の間では断食するのは大人の象徴といったイメージがあるようで、小さい子供(たいてい男の子)でも大人ぶって断食に付き合うこともあるようです。えてして父親はそんな息子を誇らしくおもうものですが、母親は子供の成長や体調が気になってしまうようです。非イスラム教徒は断食を行う義務はありません。インドネシアに在住する華僑などは、ラマダン中でも日中に中華レストランを平常営業していたと記憶しています。しかし、暑い日中に地元の人々が断食をしているのに、目の前で飲み食いするのは良いことではありません。マナーとして慎むべきかと思います。

破ったらどうなる

ラマダン中に断食を破るとどうなるのでしょうか。答えは「何も起こらないです」。少なくともヨルダンではそうでした。人の目に触れないところで、隠れて水を飲んだり食べ物を口にすることは十分に可能です。だいたい、唾をのみ込んではいけないと言われても、だれも取り締まることはできないでしょう。ラマダン中の断食は自分との約束だそうで、まわりの目を気にして行うものではないのだそうです。自分が正直者かどうか試されていると解釈する人もいました。そういわれると、守らざるを得ないでしょう。私の2年間のヨルダン滞在中に、ラマダン中も断食をしないと公言している人に一人だけ会いました。北欧家具を生産する中堅企業の若手社長でした。一か月もばかばかしいといって、ラマダン中は毎年ヨーロッパに出張に行っていました。彼は首都アンマンの商工会議所の幹部役員であり、ラマダンを否定していることが理由で、社会的に何かの制裁を受けているという感じは全くありませんでした。

断食の目的

イスラム教とは貧しい人々を助けるということをとても重視する宗教です。砂漠に生きる貧しい人々は満足に飲み水や食べ物を手にいれることができません。こうした貧しい人々を助けるには、まず自らが貧しさを理解して、その苦しみに共感する必要があります。だから、一年に一度、貧困者の生活をまねてみるのです。日中に何も飲めず食べれないことがどんなに苦しいか、あらためて確認して、貧困層への支援に取り組もうということです。大変に立派な心がけですが、国民みんながそう意識してラマダンをしているかどうかはわかりません。若干疑問に思う時もあります。

ラマダン中の食事

断食といっても飲食を禁止されるのは日中だけです。夕方に日が落ちれば自由です。だから、ラマダン中は日没前に全員が食卓について、豪華が食事を目の前にして、日が落ちるのを今か今かと待ち続けます。日が落ちるとよーいドンで食事が始まります。まず口にするのはナツメヤシ(デーツ)です。肉料理をいきなり空腹の胃に落とし込むのは良くないのだそうです。まず、あまーいナツメヤシで胃の中を落ち着かせておいて、メインに取り掛かるようです。ラマダン中の夕食のことをイフタールと言います。ラマダン中はお客を自宅に呼び合って、豪華が食事を用意することが一般的です。だからイフタールとは豪華料理というイメージがあります。実際、ヨルダンの首都アンマンでは、ラマダン中は食料品の購入総額が通常の1.5倍になるのだそうです。各家庭で毎晩、毎晩、豪華料理を用意する様子が目に浮かびます。そもそも、断食して貧困層に共感するのがラマダンの目的だったのでは?と思ってしまいます。こんな疑問を地元の人に投げかけると、ラマダン中はあえて食べきれないほどの料理を作り、貧困者が訪問した際に備えるのだそうです。実際、物乞いが夕食時に食べ物をもらっている状況は目にしたことがあります。それにしても、毎晩の残飯の量はすごいと思います。日没から始まった夕食は、夜の1時、2時まで延々と続きます。当然アルコールは無いのですが、コーヒーを飲みながら、あるいは水タバコを吸いながら、ダラダラと時間を過ごします。これにつかれるとベッドに入って寝ます。しかし、朝の4時か5時ごろには起床します。なぜなら日の出前に朝食を食べなければならないからです。日の出前にあわてて食べ物と飲み物をお腹につめこみ、そして出勤することになります。

ラマダン中の日常生活

こんな食生活なので、基本的に寝不足の日が続きます。我々外国人が朝オフィスに行くと、極度に眠そうなスタッフがデスクに座っています。午前中は居眠りばかりしています。そして午後の2時ごろになると、ラマダン中だから早めに帰宅していいかと聞いてきます。ラマダン中だからといって、就業時間に変更はないのですが、ほとんどのオフィスが2時ごろにはしまってしまいます。しょうがないから、スタッフを帰宅させ、我々もずいぶん早めに帰ることになります。家具会社の社長がラマダン中は仕事にならないとボヤイテいたのが良くわかります。ラマダンの断食は宗教的行事なので、我々もスタッフに一切文句を言えないのが辛いところです。年に一週間くらいならまだしも、これが一か月も続くのはどうかと思ってしまいます。

ラマダンが明けると

苦しい一か月の断食が終わると、数日間の休日が与えられます。エイード休暇と言います。この後、一か月後くらいに、別の数日間の休暇があったと記憶していますが、定かではありません。こうした休暇はあらかじめカレンダーで日時が決まっているわけではないです。宗教指導者(?)が月の満ち欠けをみながら決めるので、いつからいつまで休みなのか、前日くらいに発表されます。休日にビーチリゾートにいって過ごしたいなんて人は、あわててホテルに予約の電話を入れることになります。

 

ヨルダンで経験したラマダンとはざっとこんな感じでした。10年前のことなので、記憶があいまいなところもあります。ラマダン中は外国人の訪問は避けることが多いです。しかし、あえてこの期間をねらって訪問すると、イフタールなどイスラムっぽい風景を多く目にすることができます。旅行者として訪れるなら面白い時期かもしれません。

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