国際開発ナビ

International Development Navigator

これから開発途上国で活躍したいと考えている皆さんに向けたサイトです。
コラム
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開発援助の現場で考えたことをまとめました。どれも開発の現場で悩んで迷ったテーマです。
下記のタイトルでまとめられています。ご興味に応じてご覧ください。
・ODA技術協力の目的(1/2,2/2)
・アフリカで産業開発支援をすることの意味
・アフリカはなぜ豊かになれないのか
・アフリカにおける英語教育の弊害
・低所得国と新公共経営
・鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰
・アフリカはアジアと違う
・BOTビジネスと日本企業
・参加型開発は必要なのか
・ODAとNGO
・援助機関病について
・政府開発援助の制約
タイトルとはリンクしてません。下にスクロールしてご覧ください。

コラム

政治発展の模範になろう

国際協力の仕事を続けて20年以上たちました。途上国の貧困問題の解決に向けて、少しでも貢献しようと試行錯誤してきました。これまで、経済開発を進めて国を豊かにすることが貧困をなくすための手段だと信じてきました。国際協力=経済協力であり、経済発展を迅速に進めるために、人材をどう育成するか、インフラをどう整備するか、制度をどう改善するかといったテーマが論じられてきたように思います。しかし最近、経済発展だけでは貧困問題の解決に結びつかないような気がしています。むしろ経済発展のおかげで、貧困問題がさらに深刻になることもありうるのではないかと考えています。こう考えた理由は、途上国内の所得格差の存在です。格差問題は経済発展だけではどうにもならないように見えます。

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ODA技術協力の目的(1/2)

先日、私が働いている会社の職員向けに話をする機会がありました。新しく入った職員向けに、これまでの経験を語ってほしいといった要請だったので、日ごろ感じているODAの技術協力の課題について話すことにしました。以下は、その時の話の内容を取りまとめたものです。少し長くなってしまったので、二回に分けてご紹介します。

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アフリカで産業開発支援することの意味

途上国の産業開発・工業化を支援するというのは、日本のODAの一つの柱です。私も今まであちこちで産業開発に向けた調査を担当してきました。といっても私はエンジニアではないので、もっぱら中小企業振興とか、貿易・投資振興するのはどうすれば良いかといったテーマの調査を担当していました。対象とした国は、ほとんどがアジア諸国であり、東南アジア、南アジア、中央アジア、中東の国々でした。今まで、アフリカでこうしたテーマの調査をしたことはなかったのですが、今回アフリカの某国で産業開発に関する調査に加わる機会がありました。比較的短期の調査だったのです。アフリカで日本が産業開発支援することの意味について、いろいろ考えました。それを纏めます。

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アフリカはなぜ豊かになれないのか

ある調査で訪問したタンザニアで、地元の仕事相手から面白い話を聞きました。彼は長い間、私の会社のプロジェクトで働いていたスタッフで、今は某国際金融機関の職員になっています。エリートといっていいです。今回は、アルバイトで私の仕事を手伝ってもらったので、その打ち合わせをしました。仕事の話を離れて、いろいろタンザニアのことを教えてもらいました。

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アフリカにおける英語教育の弊害

近年、アフリカ諸国は資源やインフラ開発が活気づいていて、高い経済成長率が記録されているようです。暗黒大陸と言われていた時代と比べれば、ずいぶん景気が良いようです。しかし、経済成長はしていても、開発に繋がっているかというと疑問です。見た目には繁栄していても、国内の貧困層は取り残されており、所得格差が開くままになっているからです。こうした状況を打開する方策はなかなか思いつきません。しかし、子供に行っている英語教育を改めることが、その一歩ではないかと思います。英語教育の廃止、教育の母国語化は、昔からの私の持論なのですが、以下にその意味を説明します。  (続きを読む…)

低所得国と新公共経営

新公共経営(New Public Management)とは耳なじまない言葉ですが、国家が民間企業の経営理念や手法を取り入れて、行政実務の効率化、活性化を実現しようする考え方です。1980年代以降にイギリス、ニュージーランドなどを中心に形成されてきた行政運営理論です。日本では、2010年の民主党鳩山政権時代に「新しい公共」円卓会議が設置され、日本社会への適用が検討されたことがありました。企業経営の考え方を導入することで、行政部門の効率化・活性化を図ること、さらには「小さな政府」、「官から民へ」といった方向性を進めることが目指されています。こうした新公共経営の考え方がアフリカなど低諸国国に導入されつつあります。私自身も2011年末から2年半ほど、エチオピアの州政府行政官を相手に、新公共経営の導入に係る技術協力事業を担当してきました。その経験を踏まえて、低所得国に新公共経営を導入する是非について、まとめてみました。以下は、先月にブログに載せた原稿を修正したものです。

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鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰

ODAの評価

日本政府の政府開発援助は原則として全てが評価されることになっています。評価調査チームが形成され、数日から3週間くらいかけてじっくりと評価されることになります。評価調査は我々のような開発コンサルタント企業に発注されることが多いため、各社にとって貴重な収入源です。私の所属する会社でも評価調査をメインに行うコンサルタントが10人くらいはいるはずです。私もたまに評価調査、あるいはそれに類する調査に入ることがあります。しかし、本心を言えば、あまり評価調査はしたくないです。社内でも「私は評価の仕事はやりません」と公言しています。何を考えて、こんなことを言っているのか、ODAの評価調査とはいったいどういうものなのか、自分の考えをまとめてみました。ただ、あくまで私個人の経験に基づく私見ですので、きっと偏っていると思います。その点は気を付けてください。

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アフリカはアジアと違う

アジアの経験をアフリカに!

アジアにもアフリカにも欧米諸国の植民地支配を受けた国々が多く、第二次世界大戦後の混乱の中で独立を勝ち取ってゆきました。その後、1970年代くらいまでは低開発状況からなかなか抜け出せないままでした。1980年代に入ると、アジア諸国の中でも韓国、台湾、香港、シンガポールが「アジアの四つの虎」と呼ばれ、急激な経済成長を進めるようになります。その後、1990年代以降は東南アジア諸国から中国、インドへと成長の流れが波及し、今ではアジア諸国は欧米に匹敵するような大きな経済圏になっています。一方、アフリカ諸国は以前として低開発状態にあり、厳しい貧困に苦しんでいる人々も少なくありません。アジアとアフリカとの間には、過去の40年くらいの間に大きな差がついてしまいました。そこで、数年前からアジアの開発経験をアフリカに伝えて、アフリカ開発に役立てようという考え方が現れてきました。

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BOTビジネスと日本企業

BOTとは

BOTとはBottom of Pyramidの頭文字をとったもので、途上国の住民の大半をしめる貧困層のことを指しています。貧困層であるがゆえに購買力は小さく、市場として重視されてはきませんでした。しかし、アメリカのミシガン大学のプラハード教授が「ネクスト・マーケット」という著書を発表してから、この貧困層市場の潜在的価値が注目されるようになりました。特にアジアの新興国では貧困層市場は年々大きくなっています。こうした国々の貧困層を現時点で顧客として取り込んでおくことは、将来の販路拡大に大きな効果が期待されると考えられています。成長する新興国では、現在の貧困層もいずれは中流階層にうつる者が少なくないと予見されます。早くから貧困層の間にブランド名を浸透させておけば、中流階層になっても同じブランドの中高級品を手にしてくれるのではないかと見込まれています。

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参加型開発は必要なのか

参加型開発とは

開発援助において、特に農村開発・社会開発といった分野では、参加型開発は基本中の基本であり、地域住民の参加を促すためのツールが各種開発されています。20年くらい前であれば、参加型開発とはまだ試行錯誤といった状態でしたが、2000年代に入るころから参加型開発に対して大きな関心が集まるようになりました。現在では、いろいろな分野で「参加型」アプローチが求められています。途上国側でも、昔のトップダウン型の行政が見直され、民主化・地方分権化の流れの中で、住民参加による計画作りや事業実施が進められてきています。

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ODAとNGO

ODAとNGOの違い?

ODAとはOfficial Development Assistanceの略で日本語では政府開発援助と表記されます。政府が国民から徴収した税金などを使って、途上国相手に実施する援助です。一方、NGOは御承知のようにNon-Government Organizationの略であり、われわれの業界では途上国で援助事業を実施する民間の非営利団体を指します。もっとも最近は非営利団体だけでなく営利目的の企業も途上国の開発に大きな役割を占めるようになってきたため、NGA(Non-Government Actor)と表記する場合も増えてきています。大手の国際NGOとしてはWorld Vision、Plan International、Save the Children、国境なき医師団(MSF)などが有名で、日本でも活発に資金集めをしています。こうした大手NGOの事業費は欧州の小国の政府開発援助額に匹敵すると言われています。途上国の開発や貧困削減を目的とするという点では、ODAもNGOも同じです。活動地域も分野もかぶっているケースが少なくありません。では、ODAとNGOとは何が異なっているのでしょうか。それぞれの役割分担はどうなっているのでしょうか。

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援助機関病について

援助機関病とは?

援助機関病とは私が名づけた病気です。途上国を相手に援助を行う側の意識をしだいにむしばんでゆく病です。「上から目線」で被援助側を見下す態度が典型的な症状です。援助事業に携わって、3年~5年くらいで感染する人が多く、10年もたつと症状が出ていることすら気づかなくなります。途上国の友人をなくす怖い病気です。

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政府開発援助の制約

政府開発援助とは

日本政府が実施する援助は政府開発援助(ODA)と呼ばれています。NGOが実施する援助とは区別しています。政府開発援助は国民の税金などを使って国際協力機構(JICA)などの政府機関が実施する援助です。政府開発援助では、援助を提供するのはドナー国の政府機関なのですが、相手国で援助を受け取るのも現地の政府機関となります。民間団体や私企業に対して日本のODAが直接に提供されることはほとんどありませんJICAの技術協力プロジェクトの実施対象は原則として政府省庁や公社等です。日本人の専門家から技術指導を受けたり研修に参加するのは、原則として政府職員に限定されます。プロジェクトによってはカウンタパートを日本に招いて視察や座学の場を提供することがありますが、これに参加するのもほとんどが政府職員のはずです。産業開発分野のプロジェクトでは、工場の生産性向上といったいかにも民間企業が受益者となりそうなものがあります。こうした場合でも、日本の技術指導の対象は政府職員です。政府職員がまず技術を身に着け、そして自国の民間セクターにその技術を伝えるというツーステップが想定されています。

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